多くの企業が、人材育成は大切だと考えています。
企業な人なり、だとか。
育てる経営。だとか。
人材ではなく人財だ、とか。
いろんな表現で、人材育成の大切さを説きます。
では、企業が人材育成を行う本質的な意味とは、何なのでしょうか?
私は、創業者のDNAの伝承だと考えています。
スキル系の人材育成は、ちょっと横に置いておきます。
企業が存続する上で最も大切なことは、その企業「らしさ」がお客様に伝わることです。
今日存在する企業は、同業種がたくさんあるのが当たり前。
その中から、お客様に選んで戴くことが大切です。
では、お客様は何を基準に企業を選ぶのでしょう?
価格、品質、サービスが優れていることは、前提条件に過ぎません。
その企業から買うことで、なにかメリットや喜びが感じ取れるかどうかがポイントです。
そうでなければ、わざわざその企業から買う意味がありません。
その前提にあるものとは、何か。
従業員が、その企業の経営理念や創業者の想いを受け継いでいるかどうかです。
ただ単なる事務員、販売員からは、こうした想いが伝わって参りません。
人材育成を行うとは。
その企業「らしさ」を継承することです。
そうでなければ、人を教育することの大切さをこれほど強く訴えないでしょう。
さらに考えると、企業が育成すべき人材とは どのような人材なのか。
「決める」ことができる人材なのだと、私は思います。
経営の現場では、たくさんの「決める」ことが次々と起こります。
お客様からのクレーム、問い合わせ。
商談の決定、価格の決定。
設備投資や人の採用。
マニュアルを整備することで日常の意思決定のガイドラインを作ることが出来ても。
例外事項がどんどん発生するのが、経営です。
これは異常なことではなく、それがあたりまえのことです。
ところが、決めるべき人が決めることが出来ないと。
仕事はどんどん溜まってゆきます。
そして、時間ばかりが過ぎてゆきます。
限界点に達すると、お客様の怒りを招いたり、仕事量に従業員が埋もれてしまいます。
これではいけませんよね。
会社の中では、職責に応じて権限があります。
あなたはこの範囲の仕事をしなさい、決めなさいというガイドラインが(有形無形に)あります。
あなたが決めるべきことは、何なのか。
そのために、どんなスキルを持ち、どのように考えればいいのか。
これは、教育しないと身につきません。
教育には、OJTや研修などがありますが。
その目的は、「決める」ことができる人材を育てることなのです。