サイトアイコン 株式会社決断力

【コラム】富士通の新人事制度に思う

富士通が、若手社員を期間限定で管理職級に登用する制度を導入したそうですね。

任期を基本1年として公募し、このほど新卒2年目の社員を課長級に抜擢しました。
これまでは管理職に昇進した人材を一般社員に戻しにくいため若手の登用が難しかったですが、期間限定にすることで管理職級を経験する機会を増やすことができるそうです。
事業転換に若手の柔軟な発想を活用するため、年功序列を見直す人事制度が広がってきました。

■日本経済新聞の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC122GF0S2A011C2000000/?n_cid=NMAIL007_20221027_Y

この記事を見て思ったこと。
江戸時代の、8代将軍徳川吉宗の享保の改革です。

江戸時代は、武士でも家柄や石高によって就任できる役職が定められていました。
先祖の功績に応じて、家老は家老、奉行は奉行、足軽は足軽。
能力があっても、先祖の功績によって最初から出世の天井が見えていました。

時代が安定してくると家柄と個人の能力の不一致が目立つようになります。
下級武士であっても、しっかりと勉学に励み、人間的にも素晴らしい人はいます。
でも、家柄や石高の縛りがあるので、抜擢人事が難しい・・・
せっかく能力がある人に力を発揮してもらいたくても、それができないのは、社会にとっても個人にとっても大きな損失です。
でも、先祖代々の既得権を打ち破るには、かなりの抵抗があります。

そこで編み出されたのが、足高の制。
役職についていれば、役料を加増します。
本来のその家の石高が低くても、役職に見合った石高をもらえるわけです。
逆に、役職を離れると役料はストップ。
元々の家柄に応じた石高に戻されます。
これだと公平な処遇が可能になります。

年功賃金は、経験を積み重ねないとなかなか給料が上がらないという欠点があります。
役職と報酬がほぼ比例しているので、役職が上がらないと給料が増えません。
それ以上に、会社経営としては過去の功績を否定するような賃下げができないという縛りがあります。
そして、変化が激しい時には、社会の経験だけでなく、新しい知識やチャレンジ精神が必要な場面が増えます。
このギャップをどう埋めるのかが、会社経営や人事施策で頭が痛いところです。

富士通の制度自体は、前向きの取り組みだと思います。
あとは、仏作って魂入れること。
実際に抜擢された人が活躍できる組織風土づくりが、次のポイントですね。



モバイルバージョンを終了