【コラム】常識・非常識・過去の常識・未常識

 私たちにとって、常識とはとても居心地のいいものですね。
自分が正しいと思っていることに囲まれていると、心が安らぎます。
人間関係であれ、ニュースであれ、モノであれ。自分と合うものは、好ましく感じます。

 でも、非常識だと感じるものを受け止めるのは、心理的なハードルが一気に上がります。
外国や民族の違いによる非常識は、外国旅行だからこそ楽しめるもの。
同じ社会に暮らしていて、自分の常識と違っているものを受け入れるのは難しいです。
若い世代や外国人の振舞いに、顔をしかめている年配の方も多いことでしょう。

 でも、年配の方は「過去の常識」の中で生きていることも多いものです。
最近では、新入社員研修で固定電話の応対が必修になっているのをご存知でしょうか?
スマホに慣れきった最近の若者は、誰からかかってきたかわからない会社の固定電話を
とるのが、とても苦手です。
「若手が電話を取るのが当たり前」などと構えていては、若手から「この会社の
価値観は古い。ついてゆけない」と思われてしまうリスクが高いのです。

 私の世代であれば、交際相手の家の固定電話にかけることで、「鍛えられて」
いました。でも、そうした機会が無い若者たちにとって、知らない相手と話すことは
心理的なハードルが高いのです。

 また、まだ常識となっていない、一部の人たちの間でしか知られていない「未常識」も
あります。
ネットが当たり前の世の中になり、未常識から常識になるスピードがどんどん加速して
いることを、日々感じています。
最近で言えば、キャッシュレス決済でしょうか。個人として使う使わないは別として、
ビジネスではキャッシュレス決済に対応できていないと、特に外国人旅行者向けでは
置いてきぼりを喰らうことになりかねません。

 
 人生100年時代と言われますが、人生が長くなる一方で、個人としては何度も
常識を上書きしないといけない、忙しい世の中になりつつあります。
あなたの価値観も、固定的に考えるのではなく、柔軟性を高めることを常に心がける。
世の中に追いつく必要はないかもしれませんが、置いていかれるリスクは注意して
おきたいものですね。