お金を借りたら利息を払うのは、常識中の常識。
でも、お金を貸すと利息を取られる、お金を借りると利息がもらえるのが、マイナス金利の意味です。
すでに、様々な形で「マイナス金利」とは?という報道がなされています。
個人の銀行預金がマイナスになるわけではありません、ということで、個人の不安を鎮静化させています。
今年は、戦後初の大初会から6日連続の株価下落。
中国経済の減速、石油価格の30ドル割れなど、世界経済の減速リスクに、投資家は敏感になっていました。
外国為替市場も、相対的に低リスクとみられた円が買われる動きが強まり。
1ドル=120円を突破し、輸出企業の業績に影響が出るのでは?という懸念が強まり、日本の株価も低迷していました。
そこで、日銀は思い切ったサプライズを出すことで、市場にメッセージを発しました。
一般の銀行が日本銀行に預けている余剰資金について、マイナス金利を導入する、という決断です。
これで、株価の上昇と円相場のこれ以上の円高を防ぐ狙いでした。
ところが。
実施直後の2日間は、株価も円相場も日銀の思惑通りに動きましたが。
2週間を過ぎてみれば、円相場は115円を突破し、日経平均株価は年初来安値を更新するあり様です。
日銀の思惑は、全く外れてしまったと言っていいでしょう。
私は、これから銀行の経営に影響が出てくると考えています。
今、日本の銀行は貸出先の開拓に悩んでいます。
日本国内での資金需要=企業の借り入れ需要が、減少しているからです。
製造業が工場を建設するのは、海外が中心になっています。
東日本大震災が契機となった省エネ投資も一巡しました。
外国人観光客のインバウンド効果で、ホテル需要は増加していますが。
小売・サービス業は、製造業ほどは資金需要がありません。
一方、個人向け貸し出しでは。
人口減少と家余りで、住宅着工件数が減少しています。
リフォーム需要は増加中ですが、新築に比べると手間がかかる上に、総額が少ない。
まさに、資金の借り手が少ない=金利の低下が起こっていました。
マイナス金利政策とは、銀行に「もっと貸し出しを増やせ!」という政策です。
でも、資金需要が低迷しているうえに、金利を下げなければいけません。
金利がプラスの状態であれば、銀行は日本銀行に資金を預けていれば利息を貰えましたが。
貸し出しを増やさないと、マイナス金利という「ペナルティ」を課せられます。
そうなると、銀行経営は苦しくなります。
貸し出しを増やそうと思っても、借り手がいない。
しかも、金利(=銀行の収入)が少なくなる。
これは困ったことになります。
ということは。
銀行は、貸出金利以外の収入を増やすほかありません。
たとえば。
振込手数料を値上げする、各種証明書などの手数料を値上げする。
住宅ローン金利も、過度なキャンペーンをとりやめる。
変動金利とはいえ、実は表面利率を変えずに、期間限定キャンペーンとして優遇金利を設定しているのが現状ですから。
本来の「変動金利」とは全然違うのが、今の実態です。
そうなると。
私達の生活や企業経営にも「値上げ」の影響が出てきます。
マイナス金利という状態が長く続くと、そうせざるを得ない状況が生まれそうです。
一方、定期預金金利の見直しも進んでいくと思います。
すでに、みずほ銀行では 普通預金から10年物定期預金までが同じ金利になりました!
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これまでの「常識」を打ち破る決断は、思いもよらないところで影響が出ることがあります。
今回のマイナス金利導入も、銀行経営の不安定さが増し、手数料アップを通じた社会生活への影響がでてくるのか、注目しています。