第一号の寄稿者は、株式会社サワーコーポレーション創業者の、澤入 精(さわいり ひとし)様です。
澤入様のご決断は、株式会社サワーコーポレーションの設立です。
オゾン層を破壊しない液で洗浄出来る機器の製造販売事業の会社です。
1989年に松下電器産業を退職時に2年間は再就職を許さないと上司から制限が課せられ、頂いた退職金はその間の生活費に使ってしまいました。
1991年にやっと起業が許された時には日本経済がバブルの崩壊で、起業どころか廃業する会社が後を絶ちません。
起業しても潰れてしまうかも知れない・・・という不安が胸を締め付けます。
しかし「オゾン層がなくなったら地球が危ない」焦る気持の葛藤する中で、自宅とその土地の全てを担保にして、
実の姉に借金保証人になってもらい国民金融公庫に支援を頼む一方で、義父がトマトの水耕栽培をしていましたので、
それを改造して『ビニールハウス内で親子5人が、事業の開始』です。
『中小企業を救う手は、オゾン層を破壊しない液で洗浄出来る機器を編み出すのが主目的と決め、先ずは『「地球益につくす」と社是』を定めました。
従来の高精細な洗浄機と言えば、洗浄液を入れた洗浄槽の中に超音波を放射させ細かな真空の泡を発生させます。
泡は洗浄物に触れると破裂して、その時の衝撃波で付着物をえぐり取ります。じっとその動作を観察しますと、
効率が悪いのでは? と感じました。
洗う動作とは、洗浄したいものに、のり状の物質で付けられた状態ですから、その状態を解く事だろうと定義付けてみました。
異なる物質がお互いに引っ付き一体になっておりますが、音波の伝播速度がそれぞれの物質で異なりますので、
同じモードで振動することは困難で、振り放されてしまう筈です。
のり状のものが溶けたり剥離して、各々が分離した瞬間に分ければ洗える筈です。そう考えて超音波を洗浄物に
伝わらせますと、金属は5km/秒で伝わりますが、のりは洗浄液と混ざり出しているので約1.1~1.4km/秒位になります。
この『物質伝播速度差を利用すれば洗浄される』筈です。
一体化状態でも『小さな超音波エネルギーで分離出来、洗浄物に損傷も少なく、微量液で処理出来ます。』これを原理にサワークリーンの事業を開始しました。
義父は「トマトやキュウリをお客様や従業員に配り、サワークリーンを頼みます。」とお願いしてくれました。女房は
食糧市場の終了間際の処分品を探して歩きました。
洗浄機器の生産を始めますと、極端な労働力不足で生産が追いつきません。毎朝他社へ出勤されるサラリーマンを羨ましく思いました。
人手採用の予算も無く、『地球を救いたい方、パートで当社に入社して下さい。』と工場近くのご家庭のポストに、手製のチラシを作り従業員で配って歩きました。
『入社したいです。』と面接に来られる主婦や、農繁期を過ぎた農家の方々が少しずつ訪れて来られました。この方々はまるで神様のように見えました。
『地球は今大変な状態です。力を貸して下さい』とお願いをすると、『全員が快く入社してくれました。』
中小企業を救う手はトリクロロエタンを使わないで済む新たな洗浄液や、洗浄機の生産が必須です。
日本としては1994年7月1日、橋本通産大臣が不景気に喘ぐ中小企業の洗浄業者を集め、『1996年1月1日からトリクロロエタンの生産も中止する。早く液を切り替えてもらいたい』と檄を飛ばされたのです。
「大臣のご要請でも、第2次のバブル崩壊でそんな体力はもう残っておりません。」と国民と国との間は決裂状態でした。
私も呟いてばかりはいられません。『大阪能率協会主催と、枚方市や各地の商工会議所主催の起業化講演』に参加し、”私もバブル崩壊に挑むベンチャー”です。“日本のベンチャーの皆さん立ち上がりましょう。”との声賭けをしました。