パナソニックグループにパナソニックコネクトが、2022年度中に係長級、課長級社員の昇格試験を廃止すると発表しました。
同社のコメントとしては、試験に備える研修が長期にわたり、子育て中の女性らに負担が重い。
代わりに必要なスキルや能力を明示して希望者が自ら手をあげる公募制を導入し、女性登用の機会を増やす。
ソフトウエア中心のビジネスモデルに転換するため、人材を多様化して風土を変える、としています。
■日経新聞の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF197MU0Z10C22A7000000/
■パナソニックコネクトのHR
https://connect.panasonic.com/jp-ja/about/profile
同社の樋口社長は、積極的な社内風土改革に取り組んでいます。
本社を東京に移したり、オフィスのフリーアドレス化、社長室のオープン化、服装の自由化など。
お堅いイメージのパナソニックとは思えないことにどんどん挑戦しています。
樋口氏自身が、新入社員として当時の松下電器に入社し、50代になってからヘッドハンティングを受けて再入社したということも、あると思います。
さて、昇格研修が無くなって、それで楽になるのか?
私は、そんな甘い考え方は捨てたほうがいいと思うのです。
私自身も、3回の昇格試験を受けました。
ほぼ半年間、座学や自分のテーマ発表の準備で土日は潰れました。
昇格前ですから、仕事は職場の中核として多忙を極めています。
負担が多いといえば、そうかもしれません。
でも、こういう時でないと学ばない人が多いのも事実でしたね。
普段は忙しい、疲れた、ということで、家に帰るとバタンキュー。
ビジネス書を読むよりも、テレビを見て気分転換するという人がほとんどだったことでしょう。
自分の専門分野ならまだしも、管理職として幅広い知識を身につけようとする意欲は、もしあったとしても自発的には取り組むことが難しかったと思います。
これは、終身雇用を前提とした、経済成長や業績が右肩上がりの時には通用したかもしれません。
目の前の仕事に集中していれば、なんとかなる。
仕事を通じての自己成長が、昇進昇格、経済的メリット、心の充実感をもたらしてくれたからです。
会社から提供される学びの機会さえきちんとしていれば、会社も自分も満足できたのです。
経済環境が激変し、変化のスピードが速く、先々が読みにくい時代になりました。
人生100年時代といわれながら、一方では45歳定年制という言葉も言われています。
リストラという言葉が当たり前になり、「働かないおじさん」がお荷物扱いされるようになりました。
会社にぶら下がっていれば、60歳定年で65歳再雇用までなんとかなる、と考えていたら、10年後がどうなるか予測がつかなくなっています。
そんな未来のことまで考えられない、考えたくない、というのが本当のところでしょうね。
これからは、「時価」が問われます。
過去にどんな実績を上げたのかは大事ですが、それだけでは不十分。
今ここで、何ができるかです。
仕事の経験値の上にあぐらをかいているだけでは、大きな変化、新しい仕事、違う立場での挑戦ができません。
そのためには、常に学び続けなければならないのです。
昇格試験がなくても、学び続けている人にとっては朗報でしょう。
入社年次、学歴、年齢、性別などで判断される場面は、どんどん減ってゆくでしょう。
マクロで見ると好ましいことでも、これまでアドバンテージがあった人たちにとっては厳しい時代になることが予想されます。
人生100年時代とは、死ぬまで学び続けること。
一流の人たちは、このことを実践しています。