決断の「スピード」に関する誤解とは

「決断力」とは、何事もテンポ良くスピーディに決断することではありません!

名刺交換やセミナーを受講いただいたときに、よく聞くお話です。
「私は決断に時間がかかってしまう。テキパキと決断できる人がうらやましい」。
いえいえ、決してそんなことはありません。 

時間の余裕があるときには、じっくりと考えていいのです。
「後悔しない」ことが、最も重要だからです。
むしろ、じっくりと考えていただきたいとすら思っております。

将棋のプロ棋士も、早見え早指しをしているわけではありません。
ここは当然この一手、と言うときにはノータイムで指します。
でも、重要な局面で、かつ時間があるときには、1時間2時間考えることもあります。

棋士にとっては、勝負に勝つことが決断の目的。 だからこそ、腰を落ち着けて
考えることも、時には大切になります。

決断の目的を明確にして、後悔しない決断をする。
じっくりタイプの方でも、タイムリミットまでに納得のいく決断ができれば、
それでいいのです。

歴史上の人物でも、戦国時代の武将 黒田官兵衛は即断即決の達人でした。
情報を分析し、その場に応じた策を次々と考えることができる、秀吉の知恵袋
でした。

そんな官兵衛を、毛利家を支えた重臣、小早川隆景が諫めます。
「官兵衛は即断即決が得意なようだが、間違った情報をもとに決断してしまえば
失敗するこも多かったであろう。私はじっくりと熟慮するようにしている。
そうすれば間違った決断をすることも少なくなる。だから、何事も即断即決する
ことがいいことではないのだ」と。
(官兵衛の息子、黒田長政に語った言葉です)

人間、自分が持っていない特質を持っている人にあこがれを感じます。
でも、あなたはあなたの特質を生かし、人生で仕事で後悔しない決断をするよう
心がけていただきたいと思います。