「決断力」の定義は、「現時点で最善と思われる案をいちはやく決めるスキル」です。
決断するにあたっては、いろいろと情報収集を行います。知恵を借りることになります。
でも、どれだけたくさんの情報を集め、経験者や有識者の智慧を借りたとしても、それで未来の成功が保証されたわけではありません。
決断するのは、神ならぬ人間の私たちです。決断しても、失敗することもあるのです。
つまり、「現時点で最善と思われる」ことを、考えて、決断して、実行することが大切です。
これが、決断の「クオリティ」に相当します。
「いちはやく決める」には、二つの意味があります。
ひとつは、文字通りの「スピード」です。
自治体の仕事には「締切り」があります。期限までに答えを出す、予算や条例案を通すということは、業務を円滑に推進するうえで重要な要素です。また、クレームの場面で住民から即返答を求められたり、入札など他者と競合する場面では、即断しないと目的を達成することが出来ません。
時間の制約がある場合には、「スピード」は大切な決断力の要素です。
もう一つは、「プロセス」です。
自治体の仕事では、街づくりや公共事業を行う場合に 住民や関係者に承認や根回しを行い、納得性を高める必要性が高い場合が多いです。
誰それが勝手に決めた、と後でしこりを残さないためにも、意見確認、合意形成、決断のプロセスをきちんと踏まないといけません。ただ、それを「できるだけ早く」サイクルを回すことが大切です。
いつまでたっても決まらない「小田原評定」では、正しいプロセスを踏んでいたとしてもビジネスとしては困ります。(小田原評定は、経営的意思決定の「何を」が明確でも、「どのように」が不明確な時に起るのです)
良い決断のプロセスには、合意形成とトップダウンの組み合わせ方が重要になります。
どちらか一方に偏るのではなく、場面に応じて使い分けるのです。
「決断の三要素」は、バランスよくすべてを満たすことが重要なのではありません。
今は何を重視して決断すればいいのか。これを見極めて対応することが重要なのです。
決断のスピードを早くするために
・決断すべきことについて、普段から考えておく(準備する)
・仮決めでいいので、まず結論を出す
・経験を積む
・小さな事から始めて、徐々に大きな決断に進める
・過去の事例を参考にする
・「既に使ったお金」は戻ってこない!と覚悟する(埋没原価・サンクコスト)
決断のクオリティを高めるために
・「正しい問い」を立てる
・過去の事例を参考にする
・選択肢を複数持つ
・参謀の意見を聞く
・意見は聞いても、決断は自分で下す
・「今は決断しない」という選択肢を持っておく
最も大切なのは、誰が責任を持って実行するのか?を決めておくことです。
決断の「7つのプロセス」を知る
・事実を数字で把握する
・望む結果を明確にする
・望む結果を得る方法を複数考える
・長所と短所を検証し、最善の策を選ぶ
・リスクを評価する。負えないリスクを冒さない。
・参謀の意見を聞き、案を改善する。
・改善した案を、遅滞なく実行する。