【企業事例】「組織の三菱」に見る、トップの暴走を防ぐ人事戦略

「組織の三菱」は、組織の決断力を維持するためにどのようなトップ人事をしているのでしょう。

企業が大きくなり、サラリーマン経営者が続くようになると。
トップ人事のルール化がとても重要になります。


江戸時代の藩と同じで、「殿様個人」よりも「お家」の存続が大事です。
ところが「優秀な」お殿様が長く居座ると、往々にしてお家騒動が起こるもの。
三菱は、見事にトップの暴走を防いでいます。

この点、松下電器は創業者の個人経営の域を脱し切れていません。
幸之助のあとは、娘婿の正治が継ぎ。
「山下飛び」で有名になった、山下俊彦が中興の祖となります。
このあたりまでは、まだ幸之助が存命でした。

ところが、その後はサラリーマン経営者と創業家の綱引きが始まり。
中村改革で一時的に業績が持ち直しても、独裁者となった中村邦夫が引退するルールがありませんでした。
最終赤字7700億円になってもまだ「続投」する姿勢を見せていましたから。

ソニーやシャープも、トップの暴走が社運を大きく傾けたという点では共通しています。

社長個人の決断力に依存してしまい、長期政権でイエスマンがはびこる結果を招いたのです。



サラリーマンは、社長個人に仕えるのか、それとも会社組織に仕えるのか。
組織を長く存続させるには、過度な個人崇拝をしない、引退ルールをつくって例外なく守らせることの重要性を感じました。