今日は、ヒューリスティクスの事例として、利用可能性ヒューリスティクスについてお伝えします。
利用可能性ヒューリスティクスとは、身近で起こったことは起こる確率が高い、と思い込んでしまう記憶のエラーです。
自分の記憶の中から、印象的なもの、取り出しやすい記憶のみで、意思決定してしまうことに伴うリスクです。
じっくりと記憶をたどれば、そんなに起こっていないことでも。
直感というショートカットでは、すぐに結論を出そうとして、じっくり考えずに取り出しやすさを基準に記憶をたどってしまいます。
その結果、実際には起こりにくいことでも、過大評価してしまうのです。
利用可能性ヒューリスティクスには、「想起容易性」「検索容易性」「具体性」があります。
「想起容易性」とは、思いやしだすさのこと。
何度も繰り返し聞かされたり目にすることや、インパクトの大きなことは、記憶にしっかり残ります。
人間の記憶には、インパクト×回数でしっかりと刻み込まれます。
しっかりと残っている記憶は、確からしいと思い込んでしまいやすくなります。
これをうまく利用しているのが、テレビコマーシャルですね。
ゴホンと言えば、龍角散。
ファイト~。いっぱーつ。
もともとは何の関係もない言葉でも、何度も繰り返されると覚えてしまいますし、連想するようになってしまいますね。
「検索容易性」とは、記憶の中から取り出しやすくなっているものの優先順位が高くなること。
テレビCMでも、CMソングや有名タレントが登場していれば、分かりやすくなりますね。
あのタレントが登場する商品だ!と思えば、ドラマを見ていてもその商品を思い浮かべてしまうようにもなります。
「具体性」とは、体験談に基づくもの。
口コミが、その最たるものです。
ネットでも、飲食店やホテルの評価は、見ず知らずの人の評価の高いものがよさそうに思えてきますよね。
身近な人や自分が体験したことは、さらに具体性が高まります。
広告宣伝では、人間の利用可能性ヒューリスティクスに影響を与えようとする事例がたくさんあります。
「想起容易性」では、広告宣伝を何度も何度も、インパクトのあるものを積み重ねたり。
「検索容易性」では、CMソングや有名タレントを起用したり。
「具体性」では、商店街やショッピングセンターのガラポン抽選会で、当選者に鐘を鳴らしたり。
「自分も当たるかも」と思わせることで、販売促進につなげています。
ヒューリスティクスとは、「思わず、ついやってしまうこと」。
そのこと自体は人間的なことなので、一概に悪いとは言えません。
時と場合によっては、じっくりと商品やサービスを見極めたり、裏付けを取ることが間違いがない、後悔しない決断につながります。