コンピュータ将棋に見た「決断における感情コントロール」

前回に引き続き、将棋と決断力のお話です。

決断をするとき、私たちは迷い、悩みます。
これで本当にいいのか?ほかに手立ては無いのか?今決めないといけないのか?
失敗したらどうしよう?などなど・・・

いくら理詰めで考えたとしても。
最後に決断する場面で、悩まない人など居ません。
悩んでいないように見えるのは、習熟した場合がほとんどです。

5月にコンピュータと人間のプロ棋士が対戦する「電王戦」が2局行われ、
コンピュータが2勝しました。
プロ棋士も、かなりのつわものが登場しているのですが。
最近のコンピュータ将棋のレベルアップはすさまじく、あっさりと2勝をもぎ
とってしまいました。

コンピュータがどのように将棋を考えているのか?
駒を取る、駒を取れるように準備する行動を、すべて数値化しています。
そして可能性があるすべての手を読み、数値を計算し、最も効果が高い手を
指すというようにプログラム化されています。
数値化の設定方法と、プログラムの優先順位計算方法こそが、将棋を指す
コンピュータのキモになります。

人間が将棋を指すと、見落としというミスがあります。
一見良さそうな手に飛びついてしまい、墓穴を掘ることもあります。
これで勝ちが見えた!という場面で、手が勝手に動いてしまってほかの手を
指してしまうこともあります。
人間心理のなせる業です。

私たちも、本当に重要な決断の場合には、コンピュータのようになれると
良いのですが。
事実を集め、数値化する。
そして、最も評価が高いことを実行する。
ここには、感情を一切はさまない。
そうすれば、上手く決断できそうです。

でも、心を落ち着けて決断することはとても難しいです。
名経営者と言われる人々でも、おなじこと。
松下幸之助は「素直」、稲盛和夫は「動機善なりや、私心無かりしか」と
いう座右の銘を持ち、心を落ち着かせていたと言います。

コンピュータには「心」がありませんから、論理的な思考がそのまま決断に
つながります。
私たち人間の心を亡くしてしまう必要はありませんが、冷静になって考える
ときには、コンピュータ将棋の思考方法を取り入れてはいかがでしょうか。