事業部制の「真の弊害」とは

私は、「自立型社員」の究極の形は「事業部長」だと申し上げております。
ですが、事業部制にはメリットも当然ある一方、デメリットもあります。

組織が大きくなってくると、製品別の事業部制を取り入れる企業もあります。
社長自らの目が届く範囲が限られてきますので、事業部長に権限を与え、専門分野で迅速な意思決定を促す仕組みです。
変化の激しい時代には、メリットが大きいと言われています。

その反対のデメリットとしては、組織人員が肥大化する、会社全体の方向性と整合性が取れなくなる、などが過去から言われてきました。
でも、本当はもっと奥深いところに弊害があるように感じるのです。

それは、事業部自身の「自己否定」ができにくいこと。
市場で敗退したことが明らかな商品分野であっても、なかなか撤退しにくいのです。
なぜなら、事業部にとっては自らの専門分野、事業領域がなくなるようなことを認めるわけにはいかないからです。
なんのかんのと理由をつけて、事業部の存続をはかる組織としての力が働きます。

たとえば、携帯オーディオ。
CD、MDなどは、Ipod、iPhoneの登場により、市場が消滅してしまいました。
最終的には各社は市場撤退しましたが、刀折れ矢尽きるまで戦いました。
携帯電話も同じ道を歩もうとしています。
日本メーカーはスマホから続々撤退しています。
意外と根強い需要がある、ガラケーに注力しはじめました。

今の時代、自らの事業領域や商品分野を越えて融合した商品が求められ、生活のシーンを変える商品の登場が待ち望まれていると言いますが。
事業分野をあまりに小さく絞り込むと、市場ニーズと離れてその世界を技術的に深掘りする方向に向かいやすくなるのも事実です。
世界歳小などを競うのは、その典型例ですね。

現場への権限移譲というと、いいことばかりのように言われることが多いですが。
自らに与えられた役割を越えた働きができる環境・雰囲気をどうデザインするかが大切になってきています。

事業部長が働きやすい制度しくみを考えること。
経営者の役割ですし、私がサポートできる分野でもあります。