プロ経営者にもとめられる決断とは何か

 「プロ経営者」と聞いて、あなたはどのようなことを想像しますか?

 頭がいい、論理的、切れ者。
幅広い経験がある、語学力がある、グローバルな視野を持つ。
このような、いい響きの言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。

 プロ経営者は、欧米では当たり前です。
サラリーマンとして入社して、経験を積む中で転職し、より大きな権限と報酬を求めて流動する。
誰でも、そうなってみたいと思うますね。

 日本でも、こうしたプロ経営者が増えてきています。
2004年には、アップルコンピュータ日本法人の原田泳幸氏が、日本マクドナルドホールディングスに転職。
2014年には、ローソンで社長だった、新浪剛史氏がサントリーホールディングス社長に就任など。

 その一方、次々と放逐されているのも事実です。
ライザップは、伊藤忠商事出身で、カルビー前社長を半年で異動。
LIXCILも、プロ経営者が創業家に交代しました。
イトーヨーカドーは、創業家が経営権を取り戻しました。

 プロ経営者ならではの持ち味があるはずなのですが。
なぜ、創業家や創業者とうまくいかないのでしょう。
ユニクロの柳井正氏も、ソフトバンクの孫正義氏も、後継社長候補として迎え入れたプロ経営者を、何度も切り捨てています。

 私が思うには。
大きなリスクある決断ができるかどうかがポイントのようです。
言われた通りのこと、小さな決断をすることは、期待されていないのです。

 プロ経営者といても、所詮はサラリーマン。
自分の報酬は、ちゃんと約束されています。つまり、身軽なのです。

 でも、創業経営者、創業家は、重い荷物を背負っています。
創業の想い、長年尽くしてくれた従業員への愛着、個人補償の借金など。
大きな決断をするには、リスクを背負う覚悟を持っています。

 正直申し上げて、我が身可愛さが過ぎると、経営はうまくいきません。
このことに、創業者、創業家が、「プロ経営者」に不満を持つのだと思います。

 つまり、どちらがいいか悪いかではなく、リスクの取り方の違いなのです。