【企業事例】日産自動車ゴーン氏逮捕と日本企業の病根

日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕のニュースは、衝撃的でしたね。
事実が次々とあきらかになりつつありますがなぜ、こういう事態になったのか?

 その一方で、最近は大企業での検査データの改ざんが相次いでいます。
こちらも、なぜこのようになったのか?


 今日は、その謎を考えてみたいと思います。


 時間をさかのぼり、なぜゴーン氏が日産自動車のトップに君臨したのかを考えてみましょう。

 1999年の日産自動車は、業績不振にあえいでいました。
販売台数こそトヨタ自動車に次いで2位でしたが。
利益は出ない、財務体質は悪化するで、大変な状態でした。
そこでフランスのルノーと業務提携し、ルノーの上席副社長だったゴーン氏を迎え入れました。

 ゴーンしは、着任するやいなや「日産リバイバルプラン」を策定して実行。
村山工場など3工場の閉鎖や、21,000人の従業員削減、下請企業を半分に絞り込むなどの大胆なコストカットで、業績を立て直しました。
「コミットメント」という言葉が、ここから日本でも多用されるようになりました。
リバイバルプランが実行できなければ、自分は即刻退任する!と宣言し、実際に実行したからです。


 問題は、なぜ日産が危機に陥っていたのか、そしてゴーン氏に権力が集中していったのか、というところです。
「ビジネスコミュニケーションタイプ診断」を使って、解き明かしてまいります。
(下段であなたの診断もできます)

 5つのタイプに分かれますが、日本人には「犬」タイプが60%います。
従順で、上の言うことにハイハイと従うタイプ。
私に言わせれば、自ら決断しないタイプです。

 大企業で出世するには、「犬」の要素が3つ以上必要です。
上司の「引き」が無ければ、出世はできません。

 ところが、「犬」タイプばかりが経営陣にはびこると。
重大な意思決定ができずに、ずるずると業績が悪化し始めます。
手遅れになっても手を打てなくなり。
1999年の日産自動車のような状態になります。

 そこで、「裁判官」タイプが登場します。
いわゆるリーダータイプで、本質を見極めて果断に対処できるのが持ち味です。
ゴーン氏も「コストカッター」と言われましたが、誰も手を付けにくかった難問に挑戦し、見事に解決してゆきます。

 この「裁判官」タイプは、「犬」タイプととても相性がいいのです。
自分にハイハイと従ってくれると、とても喜びます。
今回有価証券報告書の虚偽記載や不適切な不動産の提供などを行った外国人取締役を、身の回りに置きたがります。
一方で、「犬」タイプの日産従業員は、おかしいなと思っていても口に出すことはしません。タイプ的にできません。
ゴーン氏に直言した人物は、あからさまに左遷されたとも言われています。


 20世紀、日本の大企業は株式持ち合い、系列取引、年功序列の順送り人事と
いう、「犬」タイプがはびこる組織風土を良しとしてきました。
その中で、たまに現れる「裁判官」タイプの経営者が無理難題を押し付けると、現場で不正を行ってでも上の意向に従うことに手を染めます。
東芝の不正会計、自動車メーカーの不正検査、金属工業や免震装置メーカーの検査データ改ざんなどは、同じ病根です。

 
 「裁判官」タイプであっても、「天使」の要素が多ければ、厳しいけれど愛情がある人だと、良い印象になります。
年始にお亡くなりになった星野仙一氏が、その代表例です。
鉄拳制裁という、まさに「裁判官」の要素たっぷりでしたが。
その裏側にある愛情を感じる人が多かったからこそ、監督を務めた3球団すべてで偲ぶ会や追悼試合を行ってくれたのです。

 ゴーン氏の場合、自分さえよければという気持ちが強かったと思います。
「天使」の要素が、ほとんど無かったことでしょう。
だから、今回のようなことが起こったと考えています。


 経営には、果断な決断と実行が欠かせません。
日本の大企業にダイナミズムが感じられないのは、組織内に波風立てない「犬」タイプがはびこる組織風土に病根があります。
ここに、「天使」の要素がほとんどない「裁判官」タイプが君臨すると、結果を求めるためには何をしてもいい、という内向き志向が広がります。

 
 世界に目を転じると、Google、Apple、Facebook、Amazon、アリババなど、ダイナミズムあふれる企業が次々と誕生しています。
今回の事件を他人事として批判するだけでなく。
自分たちの会社をどうするのかを考えるきっかけにしていただきたいと思います。 

 ゴーン氏を分析した、ビジネスパーソンとしてのあなたの「コミュニケーション
タイプ診断」を、無料で行っていただけます。
https://www.reservestock.jp/page/fast_answer/3272

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