夏目漱石「草枕」に学ぶ決断力

夏目漱石の「草枕」の出だしです。

「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」

決断力とは、ざっくりとした捉え方をすれば、論理と感情のせめぎあいです。
事実に基づいて、論理的に考えてみるのだけれど。
論理だけでは、角が立ってしまいます。

感情も大切にしたいのだけれど。
それだけでは、道理に合わないことになってしまいます。

だからといって、自分の意見を押し通そうとしてみても。
周りの人から嫌われてしまわないか、心配です。

「草枕」の続きです。
「住みにくさが高じると、安いところへ引っ越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画(え)が出来る。」
そんなものかもしれませんね。

俗世とは、自分自身の決断と、周りの人々の感情とのはざまにあるのかもしれません。
そこで生きてゆくには、住みにくさがわかったうえでのバランス感覚が求められます。
角が立っても、流されても、窮屈でも。
その時々のバランス感覚で、決断してゆくことが大切ですね。